下手物とは

粗雑な作りで安価に量産された大衆向けの工芸品や装飾品を指す言葉である。
伝統的・高級な工芸品とは異なり、技巧性や芸術性よりも見た目の派手さや流行を重視し、庶民向けに手軽に売買されたものである。
近世から近代にかけて、縁日、見世物小屋、駄菓子屋などで売られていた玩具や置物などが「下手物」と呼ばれ、子どもや庶民の娯楽に供された。
語感としては多少の蔑視を含む場合もあるが、庶民文化や民芸の一部として再評価されることもある。
また、下手物はしばしば「奇抜」「奇妙」「粗雑だが面白い」といった価値基準で語られ、蒐集の対象にもなる。

例文

・縁日で売られていた風車や紙細工の多くは、下手物として子どもたちに人気があった。
・下手物と侮るなかれ、そこには当時の庶民文化の息吹が詰まっている。
・昔の駄菓子屋には、奇抜な下手物がずらりと並び、子ども心をくすぐった。
・美術館の企画展では、下手物として扱われた品々が「民衆のアート」として再評価されていた。

三字熟語 下手物
読み げてもの
英訳 cheap trinket
使用漢字