考現学とは
1927年(昭和2年)に今和次郎によって提唱された学問であり、「現代の社会現象や生活の変容を、ありのままに観察・記録・分析することによって研究する学問」である。
都市生活や庶民の日常を対象に、その外形的な痕跡たとえば服装、建築、広告、電柱の貼り紙、商品の陳列、流行などを通じて現代社会を読み解こうとする実証的な手法が特徴である。
この学問は、従来の過去を研究対象とする考古学に対して、現代(=今ここにある生活)を観察対象とすることから「考現学」と名付けられた。
考現学の思想と手法は後に、生活学、風俗学、路上観察学などの分野に派生し、都市文化論やマーケティング分析、デザインリサーチなどにも影響を与えた。
考現学は、専門的な研究のみならず、一般の人々にも身近な観察・記録の視点を提供するものであり、「社会を観察する目」を育てる実践的な学問でもある。
例文
・考現学では、日常の中にあるありふれた風景こそが研究対象となる。
・今和次郎は、東京の下町を歩きながら広告や看板を観察し、考現学の視点で社会を記録した。
・路上観察学は、考現学の延長線上にある現代のフィールドワーク手法のひとつである。
・学術的研究にとどまらず、生活のリアルを見つめ直す態度として考現学は今も有効である。
三字熟語 | 考現学 |
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読み | こうげんがく |
英訳 | Modernology |
使用漢字 | 学、現、考 |